社葬

社葬について

◇規模の大小を問わず、運営主体が法人である葬儀のことを指します

社葬(団体葬)の定義自体は「葬儀の経費・運営を企業(団体)が負担して執り行うもの」であり、規模の大小を問うものではありません。

社葬に相対する概念は「個人葬」となります。

個人葬とは「遺族が主体となり執り行う葬儀」のことです。

葬儀とは「死者を弔うために執り行う儀式」のことですから、本来的にはその第一の担い手は「遺された者」である遺族でしょう。しかし、故人が社会的な地位や影響力のある人物である場合、その人徳・人脈の広さにより予想される参列者の範囲が必然的に拡大するため、その社会的活動の基盤だった企業・団体にしても、関係上、葬儀を補佐する必要が生じます。

このように、故人の社会的立場によっては、葬儀を遺族だけでは到底担えないという現実問題があり、近親者で密葬を行い、後日告知をして社葬を執り行うことが必要となっています。

社葬取り扱い基準と規定化

社葬の範囲と基準化

社葬において、行う範囲や基準は特に法律では定められておりません。

しかし、企業経費として行うものになりますので、税務上の制約が存在します。

範囲と基準を組み合わせて、社葬の執行のタイプを決定します。前例(慣例)があればそれをベースとして内規とし、規定化していきます。

社葬の決定・議事録の作成

社葬経費を税理処理するためには、裏付けとして取締役会議事録(事前)が必要です。

社葬の流れと運営について

社葬の流れ

お亡くなりになる場所は、ご自宅で看取るケースより、病院・施設などに変化している現代ですが、会社の社長や役員となれば、国内でも遠方の取引先であったり、出店先の国外でお亡くなりになることも考えられます。

社葬を執り行うにあたり、お亡くなりになった場所の違いによって、全体の流れが変わることもあります。
 
(例)ご逝去 → 帰宅 → 納棺 → 密葬通夜 → 密葬 → 荼毘 → 初七日法要 → 社葬


運営においての役割分担

取締役会を開き、「葬儀委員長」を決定します。

現職の社長の葬儀の場合であれば、会長或いは副社長、専務などの後任の社長を選ぶことが多いようです。

他には、他社の社長、取引先銀行の代表、故人との親交の厚かった友人などからも選ぶこともあります。

役割分担においては図のように組織されます。
       

社葬後の処理

葬儀終了後の会社における主な処理業務は次の通りです。    

香典の整理 取引先等の関係もありますので、会社ではその整理をお手伝いします。
供花・供物・弔電に対する事後挨拶状

取締役・監査役の選任14日以内に決定
弔慰金(労働退職金)の決定 総会において退職金の最高枠を決定して、取締役会で具体的な金額を決定する場合が多いようです。
役員交代の連絡

主な手続きのチェックリスト

項目手続き窓口摘要
雇用保険資格喪失届職業安定所役員兼使用人の場合
社会保険埋葬料金の受給社会保険事務所死亡診断書

高額医療費の受給社会保険事務所医療費の領収書添付
厚生年金厚生年金の受給社会保険事務所年金手帳・戸籍謄本・死亡診断書
所得税申告準確定申告所轄税務署
労災保険葬祭料・年金等労働基準監督署労災による死亡の場合
役員変更変更登記申請法務局(2週間以内)代表者死亡の場合は議事録を作成のこと
金融機関名義変更各銀行・信用金庫等原則として代表者死亡の場合代表者変更登記
株式・債券名義変更証券会社・発行会社相続に関係します
ゴルフ会員権名義変更所属ゴルフ場名義変換料が必要
電話加入権加入承継届電話局
電気・ガス・水道等名義変更各請求先印鑑・通帳・領収書を持参の上手続き
不動産賃貸借契約書名義変更
契約書の書替え
不動産名義変更法務局相続に関係します
生命保険受給手続き生命保険会社会社が保険契約者になっている場合

社葬と税務 Q&A

Q

社葬費用を損金処理するため準備すべき事柄は?

A

社葬の費用を損金とするためには、社葬を執り行うことを決めた取締役会の議事録が必要です。

議事録がないと、いくら経費としての領収書がそろっていても否認されます。
議事録の作成が事後になることもありますが、本来は事前(死亡~葬儀までの間)のものでなければなりません。

Q

社葬費用として認められる範囲は?

A

社葬費用として税法上認められているものを列記すると、

①葬儀もしくは葬送の際、またはこれらの前における埋葬・火葬・納骨、または遺体遺骨の搬送その他に要する費用(火葬式と本葬式にあっては両者の費用)

②葬式に際し施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして、相当程度と認められるもの

③前2項に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で、通常葬式に伴うものと認められるもの

④死体の捜索または死体もしくは遺骨の運搬に要した費用

となります。

具体的に言えば、葬儀社への支払い、式場の賃借料、僧侶神官等に対する謝礼及びこれに付随する費用、通夜の接待費を含める葬儀終了までの飲食物の費用、葬儀に要した弁当代、交通費、事務用品、諸心付等の雑費、遺体の搬送費などがあげられます。

Q

社葬の費用のうち、認められない経費は?

A

税制上、基本的な見解として「亡くなられた人の葬式に要する費用は、当然遺族が負担するべきである」という立場から「社葬費は社葬に直接関係あるもののみとし、場合によっては布施や戒名に要する費用、密葬・荼毘に要する費用等は、遺族が負担するべきである」とされています。

死亡時の病院等に対する費用及び自宅における密葬等は遺族側の負担とし、社葬費用としては本葬儀の通夜及び当日分のみとはっきり区分して考えた方がよいでしょう

また、葬儀の関連費用の内、主として法要・法事などに要した費用、香典返し等の返礼に要した費用、仏具仏壇等の費用、墓地墓園などに関する費用など、葬儀の後に行う費用は認められません。「葬儀当日までの費用は認められるが、葬儀後の費用については認められない」と心得ておきましょう。

Q

社葬は遺族側にどのようなメリットがあるのでしょうか?

A

社葬は、故人の会社における地位、取引先との関係、及び社会的な地位などを考慮して行うものです。

しかし、会社で葬儀費用を負担することにより、遺族は葬儀費用を相続財産から支払う必要がなく、故人の生前の財産をそっくり引き継ぐことができます。

葬儀費用分を弔慰金や退職金で受け取れば、相続税の対象となることもあります。